「兜町の御意見番・平野憲一の相場表街道/裏街道」第94回 -再び問う日本精密の将来性
2016/06/08
日本証券新聞
 日本精密(7771・JQ)の今2017年3月期連結予想は、売上高102億600万円(前期比9・3%増)、営業利益3億600万円(同8・5%増)、経常利益2億3100万円(同138%増)、当期純利益3億5200万円(同611・7%増)と、大幅増収増益になっています。チャイナプラスワンの流れをはるかに先行する、同社のASEAN(東南アジア諸国連合)プロジェクトの戦略的価値がますます高まって、売り上げは予定より1期早く過去最高の100億円を達成することになります。
 予想値で分かるように、営業利益よりも当期純利益の増益率が大きいのは、「生産準備金」が特別利益に入るため。これこそが同社の価値を証明するものです。
 大手企業からの発注打診により必死で資金を工面し設備を増強したら、「方針が変わり発注は無くなりました」となって倒産――という中小企業の例はたくさんあります。一方、今回の同社の例は、発注打診と同時に生産準備金という形で「お金を先に払いますからよろしく」というもの。それほど同社の技術は貴重なものになっています。
 日本の物づくり企業は中国で20年、30年の歳月をかけて、日本と同等の加工技術を作り上げてきましたが、現在は賃金高騰と後継者不足で中国人経営の下請け企業群の経営が立ち行かなくなっています。しかし中国に匹敵する高技術下請け工場はASEANにはまだ育っていません。その20年、30年のタイムラグを一手に引き受けるのが同社です。
 しかも、今回の特別利益2億円は、いわば手付金に当たるもの。2回目は工場完成時、3回目は納品開始時に入りますが、当然それ以上の金額になることが考えられます。さらに、別の大手企業からのウェアラブル関連部品の受注発生で、IT部品供給企業としての道も開き始めました。順当な上昇波動が再び始まります。