「兜町の御意見番・平野憲一の相場表街道/裏街道」第63回 日本精密はASEAN戦略で

2015/10/14 日本証券新聞


アメリカの利上げは無期延期の様相だ。株価にとっては朗報だが、景気が良くない証明でもある。ISM製造業指数は階段を降りるように悪化しているし、雇用統計は去年11月をピークに右肩下がりだ。金融政策を決める2本の柱がこれでは、利上げはできない。業績相場に移行すると思われたアメリカ株は金融相場に逆戻りをしようとしている。しかし、業績相場も金融相場も、株価は騰がる。下がる時は逆金融相場・逆業績相場の時だ。その狭間は往々に波乱となる。しかも、業績相場は陽性の相場、金融相場は陰性の相場なので、金融相場では陰湿な、一見売り材料と思われる材料が出やすい(それが買い材料だが)。


 ただ、今注意しなければならない、狭間の波乱要因の一つが、オイルマネーの行動だ。今まで、産油国は、石油売却代金を国家財政に入れ、残りをせっせとほかの資産に投資してきた。常にオイルマネーは買い方だった。


 今回サウジアラビアの資産売却が報道されたが、原油価格45ドル前後で、年間産油売却代金と国家予算がほぼ同額になったことを意味する。今年の売却分は終わったと思うが、原油価格の45ドル前後が続くと来年も売るということになる。アメリカとのシェールオイルを巡るチキンレースは終ったので、少なくとも50ドル以上で安定すると思うが、政府系ファンド(SWF)の規模は、サウジアラビアより、ノルウェー年金基金の方が大きく、アブダビ投資庁の資金はサウジアラビアの倍の規模だ。今後の原油価格の推移には注意が必要。


 世界の株価は底を打ち、リバウンド体制に入ってきたが、日本の個人投資家はまだ疑心暗鬼だ。頼れるのは個々の企業業績。中国の不調で、日本精密(7771・JQ)のASEAN(東南アジア諸国連合)戦略の価値が見直されている。